私の娘は幼稚園の時に広汎性発達障害と診断されましたが、知的障害はなくグレーゾーンだったため、療育手帳は交付していませんでした。
でも、小学校高学年になり「中学進学に向けて、療育手帳があった方が学校でのサポートが受けやすくなる」と担任の先生に言われた事がきっかけで、療育手帳を交付してもらうことにしました。
こちらの記事では、発達障害の子供の療育手帳の申請から交付までの流れを詳しくまとめました。
発達障害のお子さんに療育手帳の交付を考えている親御さんは、ぜひ参考にしてみてください。
注* 発達障害児が持つ手帳には、地域によって「療育手帳」「愛の手帳」「障害者手帳」の3通りの呼び方がありますが、交付の流れや制度の内容はほとんど同じものになります。
目次
療育手帳の入手方法|5つのステップ
まず最初に、療育手帳を申請してから交付されて手に入るまでの流れをまとめました。
1つ1つのステップはこのあとに詳しく説明しますが、下記のような流れで、私の子供は療育手帳を入手しました。
- 市役所の障害福祉課に療育手帳(障害者手帳)の交付申請をする(郵送可)
- 担当の職員から確認の電話が自宅にかかってくる
- 児童相談所で面談と検査を受ける
- 検査から約1ヶ月後に児童相談所で医師の診断を受ける
- 市役所で療育手帳(障害者手帳)を受け取る
この流れは私達親子の場合ですので参考程度に考えて下さい。手続方法は地域や年度によって変更がある可能性があります。
それぞれのステップの間に大体1ヶ月くらいずつ日にちがあいたので、申請してから受け取るまでは想像よりも時間がかかりました。
進学などで手帳の交付を早目に受けたい時には、出来るだけ早く申請の申し込みをした方が良いですね。
療育手帳の交付申請から入手までの流れ
1.手帳の交付を申請する(郵送可)
療育手帳の申請は市役所・区役所の障害福祉課で受け付けています。
申請は直接出向いて行っても良いですし、忙しい時は郵送でも受け付けています。
私は市役所に行く時間が無かったので、市のホームページから「療育手帳申請書」をダウンロードして、必要事項を書き込んで郵送しました。
2.担当の職員から電話がかかってくる
郵送から約2週間後に児童相談所から電話がかかってきて、申請を受け付けたことと、療育手帳交付の為に面談がある事を知らされました。
療育手帳交付の面談や診断は児童相談所で
いきなり児童相談所から電話がかかってきて、少しビックリしてしまったのですが、療育手帳の交付業務は児童相談所が行なうのだそうです。
ですから、発達検査や面談などは自宅から最寄りの児童相談所(こども家庭センター)に親子で出向いて受けることになります。
電話で知らされた面談の日にちが平日の午前中でしたので、普段なら学校を休ませないといけない時間ですが、たまたま夏休み中だったので大丈夫でした。
普通だと、やっぱり学校を休ませて行くのだそうです。
療育手帳の面談で児童相談所に持って行くもの
- 母子手帳
- 写真(縦4cm横3cm)
- これまでの成育歴が分かるメモ
児童相談所での面談には、「成育過程の詳細が分かる資料として母子手帳を持って来て欲しい」と言われ、また、「療育手帳に貼るために縦4cm横3cmの写真が必要」とのことでした。
それを聞いた時には、「もしも判定で療育手帳がとれなかったら、写真がムダになるんじゃないかな…」なんて思いながら、でもそんなこと言っても仕方ないので、当日までに用意しました。
療育手帳の写真はスナップ写真でOK
療育手帳の写真を用意してくれと言われましたが、どんな写真が良いのか、初めてだし分からないですよね。
児童相談所の方に、「証明写真を撮ってきた方が良いですか?」とたずねると、「お家で撮ったスナップ写真で大丈夫ですよ」とのこと。
最近撮った写真で、娘が1人で写っているもの、キレイに撮れているものを探してみると、春の旅行で撮った写真になりました。
娘はピースサインをしていたので「これで大丈夫かしら」と心配でしたが、結果的にはピースサインの写真でも大丈夫でした。
3.療育手帳交付の為に児童相談所で面談と検査
児童相談所では、まず申請書類に出生時から現在までの成育記録や発達の過程、病歴や障害の診断などについて書きました。
これまでに通った幼稚園、小学校、在籍したクラス、担任の先生の名前も細かく書きます。
うっかり忘れていて思い出すのに時間がかかる事もあったので、あらかじめメモを用意しておいた方が良かったと思いました。
母乳で育てたか、哺乳はしっかりできたか、という質問もあり、「やっぱり発達障害と完全母乳には関係があるのかな…」なんて思いつつ、必要事項を全て埋めていきました。
その間、娘は待合室にあったマンガを読んでおとなしく待っていました。
児童相談所の面談は親子別々に
書類を書き終わると、娘は発達検査を受けるために別室へ。
私は面談室で先ほど書いた書類をもとに聞き取りが行なわれました。
娘の発達の異常に気付いた経緯や、生活の中でどういった問題があるのか、などを細かく説明します。
病院で検査を受けた時も感じましたが、「娘がどんな風に普通じゃないのか」「娘のどういう行動に悩まされているのか」というのを、わざわざ言葉にして知らない人に説明する作業というのは、やっぱり親としてつらいものです。
なんだか、人様に発達障害の娘の悪口を聞いてもらっているような気がしてしまって、とても悲しくなります。
そのあと、検査を終えた娘と合流して、検査の結果を待ちました。
児童相談所で受ける発達障害の検査とは?
娘が児童相談所で受けたのは『新版K式発達検査』という検査で、認知機能を調べるものだったそうです。
検査の結果、娘は言語能力などは成人並みにずば抜けているものの、記憶力や集中する力がかなり低いとのこと。
平均すれば、年齢相応の能力がありますが、出来ることと出来ないことの差が激しく、グラフはでこぼこしている状態です。
これは、発達障害児の特徴ともいえますよね。
数値で見ると知的能力に問題はありませんが、私たちが住んでいる県では「広汎性発達障害」と診断されている人には療育手帳が発行されると決まっているらしく(自分で申請をした場合のみ)、療育手帳は交付してもらえるということでした。
ただ、これは、地域によって判断の基準が違うようです。
私が調べた限りでは、知的能力の指数が標準なみにある子供だと発達障害児でも療育手帳が交付されないケースがありました。
娘の場合も知的障害のないグレーゾーンなので、先に医療機関で「広汎性発達障害」の診断をもらっていなかったら、療育手帳の交付が出来なかったかも知れません。
発達障害の療育手帳はB1かB2
児童相談所の職員の方と最後に面談をして、「療育手帳のクラスは軽度のB2になる予定です」と説明されました。
発達障害児はB1かB2になるそうで、娘の場合は一番軽度のB2でした。
検査後の面談で説明を受けたら、次の医師の診断日の予約をして帰りました。予約日は、さらに1カ月先になりました。
4.児童相談所で医師の診断を受ける
1カ月後、児童相談所で行なわれた医師の診断は、前回に行なった発達検査の結果の説明でした。
娘の場合はすでに別の医療機関で発達障害の診断を受けていたので、ここでは診断という形をとらなかったのかも知れません。
児童相談所で担当してくれたお医者様からは、「成長に伴って、本人のコミュニケーション能力も上がってきますが、周囲もまた同じように成長しているので、結局、追いかけっこの状態になるんですよ」という言葉を言われました。
「成長すればするほど、身につけなくてはいけないスキルも増えていきますから、同年代の子供に馴染ませるのはなかなか難しいかも知れません」
「とりあえず、本人はすごく不安なので、その気持ちを理解してあげることが大切です」
など…、とても参考になることを教えてもらいました。
色々な相談にも詳しく答えて下さり、発達障害児のことをよく理解されているお医者様だと感じました。
5.市役所に療育手帳を受け取りに行く
児童相談所で医師の診断を受けてから2週間後、市の障害福祉課から「療育手帳を取りにきてください」という手紙が届きました。
必要なものは、その手紙と印鑑だけでした。
数日後、市役所に行って交付を受けました。障害の程度は児童相談所で言われていた通り「B2」で、手帳の表面には「療育手帳」ではなく「障害者手帳」と書いてありました。
交付を受けた窓口で、療育手帳を持っている場合に受けられる優遇制度の説明をうけましたので、下記にまとめました。
療育手帳2級で受けられる優遇制度
- 障害基礎年金(病気・けが)
- 住宅改造費助成(身体状況に応じて)
- 所得税・住民税における所得控除
- マル優制度(預貯金・公債それぞれ350万円まで非課税)
- JR運賃の割引(100km超の場合、本人のみ半額)
- 航空旅客運賃の割引(本人のみ割引制度あり)
- タクシー運賃割引(タクシー会社による)
- バス運賃割引(本人のみ半額)
- ハローワークの就職相談
これ以外に都道府県が独自に実施している優遇制度もあります。(お住まいの都道府県により実施していない場合もあります)
子供の療育手帳が交付されて感じたメリット・デメリット
私は小学校の担任に言われたことがきっかけで療育手帳の申請をしたので、療育手帳を交付されることでの優遇制度については市役所に行って初めて知りました。
発達障害児の子育てをしていると、思ったように働けなかったり、お金が余計にかかることもあります。
ですから、こうした制度を使って少しでもお金を節約出来るのはとても有難い事だと感じました。
また、療育手帳があることで学校などにサポートをお願いしやすくなった面もあり、交付しないよりはしたほうが、親の立場としてメリットが大きいような気がします。
療育手帳が交付されても自分から言わなければ誰にも知られないので、特にデメリットになるようなことは、私自身は感じませんでした。
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