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子供の暴力をやめさせる方法|暴力をふるう原因と止め方を解説

子供が家族や友達に暴力をふるってしまう時、親としては「今すぐに暴力をやめさせなければ」と感じるものです。

ただ、「やめなさい!」と叱りつけた所で、簡単に収まるものではありません。

特に親に対して暴力を振るいはじめた子供に対しては、慎重な対応が必要となります。

こちらの記事では、子供が家族や友人に暴力をふるう時にどうすればやめさせられるのか、具体的な『子供の暴力をやめさせる方法』を詳しくまとめました。

また、『子供の暴力の相談窓口』もいくつか紹介しています。

今現在子供の暴力に悩んでいる親御さんや、暴力までにはいかないけれど激しい暴言があったり暴れたり喚いたりして困っている親御さんはぜひ読んでみて下さい。

子供が暴力をふるうきっかけになること

子供の暴力は、思春期の頃に始まるものと、幼少期に始まるものに分けられます。

暴力が始まる時期やきっかけによって対応が違ってきますので、まずはどちらに当てはまるか考えてみて下さい。

幼少期から暴力をふるい始めた子供

幼稚園や保育園で周囲のお友達や先生を叩いたり、お家で親や兄弟に対して暴力をふるう子供はたくさんいます。

ほとんどの場合は、自分のことを構って欲しい時や要求を聞いて欲しい時、あるいは、些細なことで苛立って気持ちが抑えられなくて突発的に手や足が出てしまうケースです。

叩かれる相手側からすれば大変なことですが、幼少期の暴力はそこまで深刻に考えなくても良いケースがほとんどです。

幼少期の暴力をやめさせるには?

やめさせる方法としては、親が根気強く言い聞かせることと、暴力をふるった時に叱ったり咎めたりせず無視することです。

暴力の被害者側のケアはしっかりと行いながら、加害者側である我が子に対しては何も言わず手も口も出しません。

幼い子供にとって親に無視されることは一番つらいことです。

叱ったり苛立った様子を見せてリアクションをとるよりは、悪い行いについては全く評価しない方が、子供の自省を促すことができます。

普段から言い聞かせて「暴力はいけないこと」と理解させた上で、もしも暴力をふるったなら無視をする。

その繰り返しで、自然に暴力が収まっていくはずです。

もしもそれでも収まらない時は、このあとの「子供の暴力をやめさせる方法」を読んで実践してみて下さい。

思春期から始まる子供の暴力

思春期は、子供の心と体が大人へと成長して完成するまでの移行期を指します。

この時期は身体の中と外に今までとは違うさまざまな変化が表れることで、不安になったり悩んでしまうことも多くあります。

また、他者と自分との違いを認めてナーバスになったり、自分に対して色々な葛藤を抱える時期です。

「なぜ自分だけ成績が悪いんだろう」「みんなは可愛いのに自分だけ変な見た目だ」などと、やたらと人と自分を比べて悲観的になってしまうこともあります。

こうした葛藤は思春期特有のもので、その期間を過ぎれば自然に気持ちも落ち着いて心もすっきり軽くなることがほとんどです。

しかし、思春期の間に大きなストレスを感じたり、いじめや体罰などで心が追いつめられると、頭の中がパニック状態となって周囲に暴力をふるいはじめる子供もいるのです。

それまでは抑えられていた衝動が、複雑な思春期という葛藤の中で歯止めがきかなくなり、乱暴な言葉や行動を表に出してしまいます。

思春期から始まった暴力をやめさせる方法はこのあとに解説します。

発達障害が原因で暴力をふるう子供

幼児期に始まった暴力でも、思春期に始まった暴力でも、背景に発達障害が影響していることがよくあります。

子供の暴力に悩んだ親御さんが医療機関や子育て支援センターに相談をして、検査をしてみたら発達障害だった、というケースも実際に多いです。

発達障害の子供は人の気持ちを思いやることが難しく、感情のままに乱暴な行動をしてしまうことがあります。

また、何度言い聞かせても理解に繋げることが難しいという特徴もあるのです。

発達障害の影響で暴力をふるってしまう場合にはできるだけ早く療育をはじめて、専門家のアドバイスを受けながら「発達障害児が暴力をふるわずに済む環境」を整えていくことが大切です。

ただ、発達障害といっても個人差がかなりあり、知的障害のあるなしでも対応が大きく分かれます。

まずはこのあとの暴力を止めさせる方法を参考にしてもらいながら、こちらの関連記事も読んでみて下さい。

【タイプ別】発達障害児の特徴とサポート方法|家庭と学校・園での正しい支援の在り方

なぜ子供は暴力をふるうのか?暴力の原因とは

子供の頃に暴力が始まって家族が被害に遭っている。大人になってからも暴力が収まらず、手の付けられない状態になってしまった。

そのような家庭内暴力の事案も増えている中、子供の暴力をいますぐなんとかして止めたいと思っている親御さんも多いのではないでしょうか。

子供の暴力をやめさせるためには、まずは『暴力の原因』を理解する必要があります。

子供の暴力の原因は愛情不足

多くの場合、子供の暴力の原因やきっかけになっているのは『甘え』『自己承認欲求』です。

もっと自分を大切にして欲しい、認めて欲しい。そうした心の叫びが、暴力となって表に出てくるのです。

なぜそんな風に思うのか?なぜ暴力をふるうのか?

答えは、「自分は大切にされていない」「自分は必要とされていない」と思い込んでいるからです。

親の愛情を実感出来ない子供達

親からすれば、これまで必死に子育てをして、自分を犠牲にしてまで大切に愛情を注ぎ続けた我が子です。

「この子の為にどれだけ頑張ったか…」と、感じる親御さんもいるでしょう。

「愛情不足なんてとんでもない、人並み以上に大切に愛情を持って育ててきた子供なのだから!」

そんな風に腹が立ってしまうかも知れません。

しかし、「親としての子育ての達成感」と、「子供の親への感情」は別のところにあると考えて下さい。

愛情に飢えて、他者に暴力をふるってしまう子供がいます。逆に、自分の身体を切り刻んで傷つける子供もいます。

傷つける対象は他者であっても自分であっても、その暴力行為の根本的な原因には愛情への飢餓感があるということを、まずは頭に置いてみて下さい。

子供の暴力をやめさせる方法

子供の暴力の原因には愛情不足があり、「自分は大切にされていない」「自分は必要とされていない」というネガティブな気持ちが暴力のきっかけになるとお伝えしました。

では、どうすれば子供の暴力をやめさせることができるのか。

それは「自分は大切にされている」「愛されている」「必要とされている」と実感させることです。

なぜ暴力をふるわなければいけなのかといえば、不安だからです。「誰も守ってくれない」と思っているからです。

安心出来ない、怖い、何が起きるか分からない。そうした恐怖心の中で、子供は暴言や暴力に走ってしまいます。

ですから、「あなたのことを心から愛していて、何があっても守ってあげる」と親から何度も伝えることが、暴力をやめさせる最初の一歩となります。

そのためにやるべきことは、こちらの5つです。

  1. 子供の気持ちにひたすら共感する
  2. 家族にとってどれだけ大切な存在かを伝える
  3. 小さな手伝いをさせて大いに褒める
  4. 1日1回は身体に触れる
  5. 家族以外の人と交流する機会を作る

1.子供の気持ちにひたすら共感する

子育てにおいて、子供への共感はとても大切です。

「そうなんだ、よく頑張ったね」「お母さんも嬉しいよ!」

「それは残念だったね、すごく悔しいね…」「でも努力はムダにならないよね」

上から目線ではなく、同じ立場で親が共感してくれるだけで、子供の気持ちはポジティブになっていくものです。

子供が失敗したり落ち込んでいるとついつい親はアドバイスしたくなるものですが、親が言いそうなセリフなんて子供には予想できているのです。

そんな分かりきったことを言われるよりは、「本当につらかったよね、しんどいね、美味しい物でも食べて元気出そうか!」などと共感しながら励ましてくれる方が子供の気持ちはラクになります。

その繰り返しが、『やっぱり自分は親に愛されているんだ、つらい状況でも家族がいれば守ってくれる』と子供が実感することに繋がります。

親の失敗体験を伝える

子供への共感を示す上で効果的なのが、親が子供時代に失敗した経験を話して聞かせることです。

「実はいじめられていて、生きていくのがつらい時期もあったよ」「受験に失敗した時は親に叱られて大変だったわ」

などと、子供の学年に合わせた親の失敗談を話すことで、「落ち込んでしまうのは自分だけじゃない」「お父さんお母さんもつらい時期があったんだ」と感じてくれます。

子供の心の奥の孤独感を取り除くためには、「本当にあなたの気持ちが分かるよ」と伝えることが大切ですから、失敗体験を話してあげることに効果があるのです。

2.家族にとってどれだけ大切な存在か伝える

何か良い行いをした時に褒めたり、何かしらの記念日に「あなたが赤ちゃんの頃は…」なんていう思い出話をしながら「生まれてきてくれて有り難う」と言ってみるのも良いですが、それよりも、普段から繰り返して「あなたのことが大切だよ」と言葉にすることがおすすめです。

暴力傾向のある子供は他の子供よりも愛情に飢えやすく、注いでも注いでも満たされないことが多いです。

ですから、普通の子供ならそこまで言わなくても分かるだろうと感じても、「この子は愛情不足だから」と割り切って、何度でも愛の言葉を言ってあげて下さい。

「言わなくても分かるだろう」と思わないで。分かっていないから暴力をふるっているのです。

「あなたが家族の支えだよ」「あなたがいてくれて本当に助かってるよ」「あなたの笑顔に癒されるわ」「生まれてきてくれて嬉しい」「いつも大好きだよ、愛しているよ」

ここまで言葉にするのは抵抗がある…という親御さんもいるかも知れませんが、子供の暴力を本気でやめさせたいのなら、心から愛情を持って、しっかりと言葉で伝えることが必要なのです。

3.小さなお手伝いをさせて大いに褒める

療育のひとつとして、あえて小さなハードルを与えて乗り越えた時に達成感や自己肯定感を感じさせる方法があります。

暴力を振るう子供には、簡単なお手伝いをお願いして、やってくれた時には大いに褒めましょう。

年齢から考えれば軽い負担ですむようなお手伝いをさせるのがポイントです。

そこでつまづいたり失敗しては意味がありませんから、出来るだけ『得意なこと』から選びましょう。

また、自分のためになることではなく家族の役に立つことをさせるのもポイントです。

花の水やりや犬の散歩、買い物のお供をして買い物袋を一つ持ってもらうのも良いですね。

「ありがとう、あなたのおかげでお母さん助かったわ!」「一緒にお買い物に行けて楽しかった、いつもは寂しかったのよ〜」

などと感謝の言葉をかけることで、『自分は家族の一員で役立つ存在なのだ』と感じられるようになります。

スモールステップの積み重ねから成功体験に繋がり、「次も頑張ろう」という意欲を持てるのです。

4.1日1回は身体に触れる

子供とのスキンシップ、とても大切です。特に暴力を減らしたい子供には、身体に触れるスキンシップが効果的です。

子供が思春期などで身体に触れられることを嫌がる場合を除いて、1日1回は身体に触れておきましょう。

毎朝ハグをしたり、眠る前に頭を撫でてあげるのも良いですね。

異性の親子だとあまりベタベタ触るのは良くないですが、背中に軽く手を当てたり、腕をさすったり、肩をポンと軽く叩いたりしてみてください。

身体が触れて相手の温もりや優しさを感じられれば、心が静まり癒されることに繋がります。

また、暴力をふるってしまったことのある子供だと、相手から感じる温度や感触によって、自分の過ち(相手を傷つけたこと)に気付くきっかけとなることもあるのです。

5.家族以外の人と交流する機会を作る

家庭内暴力でも最も深刻なケースが、家族以外の人を避けて引きこもりになった子供のケースです。

ずっとひきこもって家族としか顔を合わせなくなると子供の暴力傾向が強まり、些細なことで爆発することが増えていきます。

時には、家族が身の危険を感じるほどの激しい暴力を受けることもあるのです。

家族としては子供の暴力にどう対処すれば良いのか分からなかったり、暴力をふるう子供を『家族の恥』であるように感じて、人に知られたくないと思って家にいさせてしまうこともあるかも知れません。

しかし、子供を家の中にひきこもらせることは絶対に避けて、家族以外の人との交流が切れないようにしましょう。

学校や職場に通っている場合は良いですが、無職や不登校で家に閉じこもりがちになっている時は、家族だけで支えようとせず第三者のサポートを受けて下さい。

ここから紹介する子供の暴力の相談窓口を参考にしてもらって、ご家庭に合ったサポート先を見つけてみましょう。

子供の暴力の相談窓口|家庭内暴力のサポートが受けられる施設

子供の暴力をやめさせるには、先ほど紹介した親からの愛情の他に、第三者のサポートも必要になります。

家族だけで解決しようと思えば思うほど問題が深刻化する場合もたくさんあるため、親御さんが抱え込まずに第三者に相談することが大切です。

ただ、「子供の暴力なんてどこに相談すれば良いの?」と感じることも多いですから、ここからは子供の暴力を相談できる窓口を紹介します。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは都道府県に設置されているメンタルヘルスを扱う行政機関です。

家庭内暴力や不登校・ひきこもりに対してもさまざまな支援が行われており、個別相談はもちろん、当事者グループや保護者グループで交流をしたり、集団指導を受けることができます。

自分と同じ悩みを持っている人と出会えることは心強いですし、専門知識のある職員に相談できることで、落ち込んでいた気持ちがかなり軽くなるものです。

相談は電話でも受け付けているので、まずは「お住まいの都道府県名と精神保健福祉センター」で検索をしてみて下さい。

児童相談所

子育てに関するあらゆる相談を受け付けているのが児童相談所です。

児童相談所は虐待の通報先のように感じられるかも知れませんが、子供の問題行動や非行の相談先にもなっているのです。

未成年が事件を起こした時に「児童相談所に通告」といった言葉をニュースで聞いたことはないでしょうか。

児童相談所に子供の暴力を相談することで、背景に発達障害などがないか検査を受けられたり、家庭内暴力に関する必要な支援が受けられるようになります。

発達障害児の児童相談所での検査についてはこちらの記事を参考にして下さい。

「発達障害児の育て方」5つのポイント|子供が発達障害と診断されたら取り組むべきこと

法務少年支援センター

法務省の法務少年支援センターでは、子供の問題行動に対してさまざまな相談に乗ってもらえます。

また、専門家による継続的な支援やカウンセリングも受けられるため、親にとっては安心感が大きいです。

少年鑑別所に設置されている支援センターということで、親御さんにとっては不安に感じることもあるかも知れません。

しかし、なんとかして子供の暴力をやめさせて明るい将来に繋げてあげたいという思いがある時には、利用されてみてはいかがでしょうか。

  「子供が学校で友達とトラブルを起こしてしまい,困っている。」
  「家庭内でのしつけについて悩んでいる。」

 法務少年支援センター(少年鑑別所)では,そのようなお悩みを,心理学等の専門的知識を有する職員が丁寧にお聞きし,例えば保護者の方に対して,今後のお子さんとの接し方を助言したり,お子さん御本人に継続的にカウンセリングを行ったりするなどの援助を行っています。

法務省|法務少年支援センター

子供に愛情を注いで暴力をやめさせよう

これまで子供に暴力を振るわれた、殴ったり蹴られたりされた。そんな経験があれば、心から子供に愛情を注ぐことが難しい場合もあります。

頭では分かっていても生理的に恐怖心や嫌悪感が勝ってしまうこともあります。

それでも、親がその壁を乗り越えて子供の100%受入れ、愛してあげることが、子供の暴力を止めるための第一のステップとなります。

暴力をやめられない子供は、大人になってから他人を傷つける可能性もあります。また、横柄な態度で就職に支障が出るかも知れません。

子供が大人になった時に苦労させない為にも、暴力傾向を早期に克服させることは本当に大切なことです。

子供の将来の為と思って、愛情をいっぱい注いであげて下さいね。

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