「親なら我が子が可愛いはず。大切なはず。」
育児中のお父さんお母さんの中には、そういった世間の思い込みに違和感を感じる人もいます。
「子供だから可愛いのは当たり前」とされているのに、自分はどうしても子供を可愛いと思えない。我が子に愛情を感じてあげられない…。
一つ屋根の下で暮らし、守ってあげなければいけない存在である我が子を「可愛い」と思えないというのは、親御さんにとってもお子さんにとっても、とても不幸で深刻な状態です。
でも、それはめずらしいことではなくて、ほとんどの親が我が子への愛情に違和感を感じたり、「可愛いはずの我が子が可愛いと思えない」という葛藤に苦しめられた経験を持っています。
こちらの記事では、我が子に関して「可愛いと思えない、愛情を感じない」と悩んでしまった時にどうすれば良いのか、具体的な対処法をご紹介していきます。
目次
子供が可愛いと思えない親はたくさんいる
自分の子供に対して「可愛い!」という愛情が湧き上がって来なかった時、お父さんお母さんは「どうして可愛いと思えないのだろう?」「自分は冷たい人間なのでは…」と悩むことが多いです。
しかし、愛情の感じ方には個人差があるのです。
子供が生まれるとともに「可愛い!」という感情が溢れ出す人もいれば、小さい頃には好きになれず義務的に子育てをしていたけれど、中学生くらいまで成長すると愛しい気持ちがどんどん強くなっていったという人もいます。
ですから子供が小さいうちに可愛いと思えなくても、成長する中で少しずつ愛情が積み上がっていく親子も決して少なくありません。
周囲を見ると、他のお父さんお母さんは子供を溺愛しているし、じいじやばあばは孫にメロメロ。どうして自分は冷めた気持ちでいるのだろう…?と思う日もあるかも知れません。
でも、子供を可愛いと思えない、愛情を感じられないという親御さんは口に出さないだけで意外にたくさんいますから、それ自体に罪悪感を感じる必要はないのです。
子供に愛情を感じない理由
我が子に愛情を感じないお父さんお母さんというと、身勝手で冷淡な性格の人を思い浮かべるかも知れません。
でも、実際はそういうケースばかりではなく、真面目で一生懸命子育てをしている親御さんの中にも、「子供に愛情を感じない」「可愛いと思えない」と感じている人は少なくありません。
子供を好きになれない
親も人間ですから、子供が生まれたからといって無条件に愛せる人ばかりではありません。
我が子であっても「性格が合わない」と感じたり、「好きになれない」と感じてしまうこともあるでしょう。
もともと子供と接することが苦手な性格の人も多いですし、中には、生理的に子供を受け付けられない人もいます。
また、人見知りが激しくコミュニケーションが苦手なお父さんお母さんだと、我が子になじむまでに時間がかかるということも実際にあります。
赤ちゃんが産まれると否応無く生活のリズムは崩され、夜泣きや授乳で睡眠時間もなくなってしまいます。
親としての心の準備ができていない時にどんどん荒波にのまれるように昼夜問わず忙しい日々が続くと、「こんなことは望んでいなかった!」と、感じてしまうことも。
それまでは幼い子供との関わりを避けてきたような人だと、子供ができたからといってすぐに『子供嫌いの性格』を変えられるわけありませんよね。
「子供は好きじゃない。我が子が可愛いと感じない」そう思うのは当然です。何も悪い事ではありません。
ただ、子供に対してどれだけ「好きになれない」という気持ちが高まっていたとしても、それは自分自身の問題であって子供にはなんの責任も無いのです。
ですから自分の中にある「子供への違和感」は認めながらも、我が子に対してきつくあたったり理由も無く叱りつけるような行動は、絶対にやめておきましょう。
「子供が苦手なのに親になってしまった」ということはある意味では不幸で苦労が多いかも知れません。しかし、だからといって我が子を傷つけることは許されない事です。
真面目すぎる子育てで子供が重荷に
真面目な人は何事も一生懸命こなそうとしますが、一生懸命すぎて子供への愛情が薄くなってしまうこともあります。
もともとは我が子のためにしていることでも、自分の想い描く子育てを実践できないと思った時、「どうしてこの子はきちんとしてくれないのか」「私の子供なのに、どうして気持ちを共有できないのか」と、我が子に対して疑問を感じるようになってしまうのです。
そうしたことが積み重なると、一生懸命頑張っている自分とは全然違う、言うことを聞いてくれない我が子(子供だから当たり前です)に対して違和感を覚えるようになり、だんだんと気持ちが冷めていくというケースも実際にあります。
「子供の性格が嫌い!」という親が多いのは…
我が子が可愛いと思えない親御さんの中には、「子供の性格が嫌いで、見ているとイライラする」という人もいます。
ワガママだったり優柔不断だったりする子供の姿を見て腹が立ったり、時には、天真爛漫で友達とうまく付き合っている娘の姿さえ、「八方美人だ」と非難するお母さんがいるのです。
どうして我が子の性格にそこまで腹が立つのかというと、そこには潜在意識に隠れた自分のコンプレックスがある可能性も。
我が子と子供の頃の自分に共通点がある親ほど、子供の性格を嫌っていることが多いのは、きっと幼少期の記憶と重なるからでしょう。
自分のDNAを持って産まれた子供ですから、性格は似ていて当たり前。
親御さんの方はこれまでの経験によってスキルが身に付いていますが、お子さんの方は、まだ真っ白の状態。我が子を見て未熟だった頃の自分を思い出すこともありますね。
子供の頃に何か悪い出来事があったり、暗い思い出のある親ほど、「子供の性格が嫌い」と言います。
我が子を通して嫌な思い出を回想するのはつらいかも知れませんが、当然のことながら、お子さんには何も責任が無いことです。
自分の悪い思い出と、目の前のお子さんの姿を重ね合わせないようにしてください。
子供が可愛いと思えない時の対処法
ここまでは、「子供が可愛いと思えない、愛情も感じない」という理由について、よくあるケースを説明しました。
それではここからは、そういう時にどうすれば良いのか…について、対処法を詳しく紹介していきます。
子供との距離をとる
我が子への違和感を持ちながら密着した子育てを続けていると、精神的なストレスが大きくなってしまいます。
もちろん、子供が可愛いと思えないからといって子育てを放棄するわけにはいきません。
ですが、あまりに近くで長く居続けるのは、お互いにとってマイナスになることありますから避けた方が良いでしょう。
子供との距離の取り方は、幼児であれば保育園や幼稚園にあずけて親御さんと離れる時間を作ったり、小学生だったら放課後の学童などを利用して、家庭以外に安心して過ごせる場所を確保します。
一方で、お母さんが専業主婦の場合には外に仕事に出て育児以外のことを考える時間を作れば、子供の事だけで気持ちが追いつめられるのを防ぐことができます。
心のバランスを整える
子供との距離を取っても、それでも「子供が可愛くない」「愛情を感じない」と思う時には、子育てだけではなく他のことでも色々とストレスがたまっているのかも知れません。
というのは、我が子を可愛いと思うかどうかについて、そこまで深く悩む状態というのが、まさに心のバランスが乱れていると考えられるからです。
どんな親でも我が子に対して「可愛くない!」「嫌い!」と思うことはあります。
未熟で身勝手な子供に対して腹が立つ日もあれば、顔も見たくないと感じる日もあるのが普通です。
でも、そういった感情も時間が経てば収まるもので、次の日にはイライラも無くなってしまうものなのです。
その気持ちの切り替えができずに、いつまでも「可愛くない」「愛せない」という負の感情が引き続いている場合には、親子関係を見直すことよりも親御さんのメンタルを回復させた方が良い場合もあります。
我が子が嫌いになったら…
我が子に対して「嫌い」という感情や「憎い」という感情が湧き上がって、それが次の日になっても無くならない時は、親御さんの中で何らかのきっかけで親子関係がこじれてしまっている状態だと考えられます。
そういった場合は、なかなか自然に改善するということは期待できないため、専門家に相談することをおすすめします。
育児相談は都道府県や市区町村に必ず窓口が用意されていますので、気軽に利用してみて下さい。
たとえば東京都なら、下記のサイトから匿名で育児相談をすることができます。
こんなことが相談できます
「言葉が遅い」 「落ち着きがない」 など、子供の成長や行動で気になることについての相談。
「育児が大変、疲れた」 「イライラして子供を叩いてしまった」 など、親からの相談。
「友達とうまく遊べない」 「学校に行きたくない」など、子供からの相談。
‥‥ このほか、18歳未満のお子さんに関するあらゆる相談を受けています。
名前を名乗る必要はありませんので、気軽にお電話ください
相談には、経験豊富な専任相談員があたっています。名前を名乗る必要はありませんので、悩んだときは安心してご相談ください。相談内容によっては、他の相談機関もご紹介します。
子供に愛情を感じられないというのは親としてもショックなことですが、それが一時的なものであればそこまで心配することはありません。
ただ、それが長引いて気持ちの切り替えが難しい時には、相談窓口やカウンセリングを利用して話を聞いてもらうようにして下さい。
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