春になり、学校の新年度が始まると、新しく決まった担任の先生による家庭訪問がありますよね。
大切な我が子のクラスを受け持ってもらう先生ですから、できるだけ良好な関係を築いておきたいけれど、でもやっぱり、家庭訪問に対して「嫌だ」「苦痛だ」と感じている親御さんは少なくありません。
たとえ先生といえども赤の他人なので、知らない人を家に入れることに違和感を持つことは、ある意味仕方のないことでもあります。
春になると必ず行なわれる家庭訪問って、一体何のためにやるのか、回避することはできないのか、現役の先生に意見を聞きながら詳しく調べてみました。
目次
家庭訪問をやる意味は何なの?
子育て中のお父さんお母さんの中には、「そもそも家庭訪問って意味あるの?」「なんのためにやっているの?」という疑問を持っている人もいるようです。
確かに、児童や生徒の全員の家にわざわざ担任が足を運ぶ必要があるのか…
いったい何の理由で家庭訪問があるのか、意味が分からないと言う意見も一理あるとは思います。
現役教師に聞いた「家庭訪問を行なう理由」
私の知り合いの小学校教諭に「家庭訪問って意味があるんですか?」とたずねてみた所、「ありますよ」ときっぱり答えていました。
担任が春に家庭訪問を行なう理由はいくつかあるそうですが、その中でも2点のことが重要だと考えられているそうです。
1つ目は、児童の自宅の場所をきちんと把握しておくこと。
これは、災害や事故、事件など、万が一のことが起こった時のために、あらかじめ担任自身が子ども達の自宅の場所や周辺の地理を確認しておくことを目的としているそうです。
もう1つは、家庭の状況を把握しておくことも必要だと言っていました。
児童の家庭が何らかの問題を抱えていないか、これは、実際に足を運ばなくては分からないことも多いそうです。
最近は、家庭内での虐待の可能性がある子どもについて、学校や園が児童相談所への橋渡しをする役割を担っていますから、そういうことも意識していると言っていました。
家庭訪問では子どもの学校での様子を話したり、先生の教育方針を説明したりしますが、こういうのはおまけのようなもので、本当の理由は上記の2点のために家庭訪問をするということでした。
あとは、保護者と良好な関係を築くためというのも、もちろんあるのだそうです。
家庭訪問は断っても良い?
学校側にとって家庭訪問が大切な行事だというのは分かりますが、それでも家には来て欲しくないという時、家庭訪問を断ることはできるのでしょうか?
それも先生に聞いてみると、特別な事情があれば断れるそうです。
とはいえ「嫌だから」という単純な理由で家庭訪問を断れるかは、学校によって対応が分かれます。
家庭訪問を断る理由になること
- 病気療養中の家族がいるため余裕がない
- 精神的に不安定な家族がいて来客を呼べない
- 離婚など家庭に問題があり先生を迎えられる状態に無い
- 親の仕事が忙しく時間が作れない
私の知り合いは「引っ越して間がないから」という理由で断った人がいたのですが、「それなら時期をずらして」という話になり、結局1カ月後くらいに家庭訪問されたと言っていました。
なので、どんな理由でも家庭訪問を断れるかは分からないですね。
先生の考え方や学校の方針にもよるのだと思います。
家が嫌なら場所を変える方法も
どうしても先生に家に入られたくないという時には、親が学校に出向くことで家庭訪問を回避できる場合もあります。
本当は児童・生徒の家庭に担任が出向くことがベストなのですが、親御さんが嫌がっているなら無理やり強制はしない、というのが最近の学校の傾向です。
ですから、「家庭訪問が嫌だ」という時は、担任に連絡を取ってその旨を伝え、その代わりに自分が学校に出向いて面談にして欲しいとお願いすれば、通常は受け入れてもらえると思います。
昔は先生が家庭訪問に来て、家に上がって談笑するというのは普通でしたが、最近では嫌がる親も増えているため自粛する学校も増えているようです。
家庭訪問は玄関先で短時間ですませる
家庭訪問と言っても、若い先生だと家の中に入ることまでせずに、玄関先で軽く喋って帰っていく先生が増えています。
迎える親としてもその方がラクですし、先生側も児童生徒全員の家に上がり込むのは大変なので、玄関先ですませたいというのが本音のようです。
家庭訪問が嫌でどうにか断りたいという人は、家の中に先生を入れるのをやめて、玄関先ですませると気持ちが少し軽くなるかも知れません。
こちらが「どうぞ」と言わなければ勝手に入ってくる先生はいませんし、会話自体は立ち話でも充分な内容だと思うので、気持ちが重くならないような家庭訪問のやり方にしておけば良いのかも知れませんね。
家庭訪問を廃止する小中学校が増えている
ここ数年で「家庭訪問が嫌だ」「家に来て欲しくない」という保護者の意見が急増している影響で、家庭訪問廃止に踏み切る小中学校が増えています。
学校側から廃止してもらえば、確かに保護者としては面倒な行事が一つ減ることで安心できるかも知れませんね。
ただ、学校と家庭が適切に連携することは子供にとって大きなメリットになるため、家庭訪問を無くしてしまうことが残念だと感じる人も多いでしょう。
特に我が子の友達関係や成績について心配の多い保護者であれば、春のクラス替えで新しく担任が変わった時に少しは交流をしておきたいと考えるものです。
担任と保護者が面と向かって話が出来る機会は家庭訪問を除けば個人懇談や三者面談くらいしか残りませんので、貴重な機会を無くしてしまって良いのか…という気はしますね。
家庭訪問を希望制にする学校も
完全に家庭訪問を廃止するのではなく、希望制にして「家に来てもらっても大丈夫」というお家にだけ担任が訪問するという方法をとる学校も多くなっています。
希望制なら、「うちは共働きで忙しいし、家に来てもらったら困る」という保護者には何も支障がありませんし、「少しの時間でも担任と会話をしておきたい」と考えている保護者は希望を出すことで通常通りに家庭訪問してもらえるので理想的ではないでしょうか。
家庭訪問への捉え方は家庭によって様々ですから、どちらか一方だけの意見で極端な結論を出さずに、柔軟に対応するべきだと思います。
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