子供が動物に手を出したり物を投げてぶつけたりすることは時々ありますが、親がそこで見て見ぬふりをしたり、「そのうちおさまるだろう」と軽く考えて放置してしまうと、だんだんとエスカレートする可能性があります。
犬や猫などの動物でも叩かれると痛みを感じるのは当然。人間からの暴言や冷たい態度を敏感に感じ取って、動物でも心が壊れてしまうことは実際にあるのです。
大切に育てたペットは毛艶がよく表情に余裕がある一方で、多頭飼育で虐待され続けた動物は表情もうつろで目つきも良くないというのは動物に詳しい人なら誰もが知る事実です。
小さな子供は動物に対しても人間に対しても感情の赴くままに手を出したり物を投げてしまうこともありますが、そこでしっかり「ダメなことはダメ」と教えるのが、親をはじめとする周囲の大人の役割なのです。
こちらの記事では、動物をいじめる子供にやめさせる方法や、犬や猫に暴力をふるう子供を放置する危険性を解説していきます。
目次
子供が動物をいじめる時はすぐにやめさせる
我が子がペットの犬や猫を叩いたり毛をひっぱったり、物を投げつけて嬉しそうに笑っていたら、すぐに注意をしてやめさせなくてはいけません。
なぜやめさせる必要があるのかと言えば、動物でも暴力をふるわれると痛みを感じますし、「飼い主にいじめられている」と感じることが大きなストレスになるからです。
また、同時に、子供の成長のためにも「動物をいじめると楽しい」という歪んだ感情を持たせることは絶対に避けなくてはいけません。
TwitterなどのSNSでは、ペットを子供がいじめる様子をわざわざ動画に撮って拡散する親御さんもいます。
先日は、叩かれている猫を「叩かれたい生き物」と表現し、猫が嫌がりながら我が子に強く叩かれている様子を動画にしてTwitterで拡散していた母親が話題になっていました。
猫は「叩かれたい生き物」?
その動画では、ペットの猫を「叩かれたい生き物」だとし、「だから我が子に思いきり叩かれても大丈夫なのだ」というコメントを母親がしています。
動画の中で、猫は嫌がって身体をずらしているにもかかわらず、子供がどんどん身体を寄せて叩きに行っています。
猫の耳は困惑や恐怖を示す「伏せ耳」となっており、尻尾をパタパタと動かしていることから苛立ちや不安を感じていることが分かります。
この猫の様子をみれば「叩かれたい」などと感じていないことは一目瞭然ですが、それでも止めてもらえない状況は、猫にとっても子供にとっても不幸なことではないでしょうか。
動物をいじめる動画は注目を集めたいから?
今回だけに限らず、動物虐待の様子を動画に撮って投稿する人は年々増加して逮捕者も出ています。
こうした行為を見かけると腹が立ってコメントをしたり拡散したりすることが多いかと思いますが、動物虐待の動画を投稿する人のほとんどは注目が集めたくてやっています。
ですから、コメントや拡散が更なる虐待に繋がるデメリットがあります。
安易な拡散はせず、深刻な場合は日本動物保護センターやインターネット・ホットラインセンターへ通報することがおすすめです。
嫌がらないなら動物を叩いても良い?
動物をいじめる動画は数多く拡散されていますが、その飼い主の多くが「嫌がってないから大丈夫」という言い訳をしています。
嫌がってないなら叩いて良い。という理屈が通ってしまうなら、抵抗出来ない弱い存在の人や動物は一方的に暴力をふるわれても仕方が無いことになってしまいます。
たとえば我が子が幼稚園や小学校で叩かれていた時、加害者のいじめっこが「嫌がってなかった、喜んでいた」と言ってきたら、許すことはできるでしょうか?
我が子がもしも「嫌じゃなかった」「叩かれて嬉しかった」と言ったとしたら、「それなら良かったね」と、親として喜ぶことができるでしょうか?
いじめられた被害者の子供の身体には痛みが残り、心にも傷が残ります。でも、嫌がっていることを伝えたらもっといじめられるかも知れないので、諦めて「嫌がっていないフリ」をしていたのかも知れません。
でも、「嫌がってなかったら叩いて良い」という理屈が正しいとされるなら、暴力から逃れられなくなってしまうのです。
動物をいじめるリスク…子供の健全な成長を阻害する可能性も
子供が犬や猫などの動物をいじめていたら、親としてきちんと注意をしなくてはいけません。
注意をしていじめをやめさせなければ、子供は「自分より弱いものは叩いても良いんだ、いじめても叱られないんだ」と思い込んでしまいます。
ペットの猫を叩いた時は放置していたけれどお友達に手を出した時は叱る、というしつけを行った場合、「動物は叩いて良いけど友達はダメ」といった、歪んだ倫理観を身につけてしまうリスクもあります。
暴力傾向のある大人に育ってしまう可能性も
動物虐待を「楽しい」と感じて繰り返していた子供が、大人になって家族や恋人に暴力をふるうことも少なくありません。
自分より弱い存在をいじめることを幼い頃から経験していると、加害行動への罪悪感を持つことができず、「楽しくなりたい、スカッとしたい」など自分の欲求不満から暴力に走ってしまうのです。
大人になるまでにも、学生のうちは同級生に暴行をしたり激しいいじめに加担する可能性もあります。
アメリカで行われた調査では、『動物をいじめていた子供が大人になった時、人に対して暴力をふるう傾向がある』との結果が出ています。
児童期における動物虐待と成人後の重大かつ反復的な対人暴力の間には有意な関連があることが示された。
「文芸春秋 2000年8月号」“猫を虐殺する子どもが危ない 凶悪犯の半数が幼児の動物虐待を告白している” より
動物や人が痛がる様子を楽しむ傾向が染み付いてしまうと、大人になってから改善するのは本当に難しいです。
子供が動物にいじめを加えていたら、子供自身の為にも必ず注意してやめさせるようにしましょう。
動物でも人間でも嫌がっていなくても暴力はふるってはいけない
動物であろうが人間であろうが、相手が嫌がっていてもいなくても、「いじめは絶対にしてはいけない」と教える必要があります。
たとえば犬や猫に「子供を噛んではいけない」と教えても、興奮した時に噛んでしまうことはあります。言葉が通じない動物ですから、そうしたことを完全に防ぐことはできません。
しかし、人間には言葉が通じるのです。「暴力はいけない」と伝えて、理解させることができます。
子供が動物をいじめないように対応を怠らないようにしましょう。
動物をいじめる子供への対処法|叱り方と言葉掛け
子供が動物をいじめていたら、すぐにやめるように声をかけます。
その時、笑ったり冗談めかした言い方をしてはいけません。真剣に、目を見て話をします。
「動物は痛いし、お母さん(お父さん)も悲しい」と伝える
「動物でも叩かれると痛いんだよ。それに、動物を叩いているあなたを見ると、お父さんやお母さんはとても悲しい」
子供に対しては、このように言葉をかけてください。
強く叱る必要はありません。子供を信じて、目を見てしっかりと話を進めましょう。
「優しいあなたが動物をいじめる姿を見たくない。あなたはとても優しいこどもだから、いじめなんてしてはいけない」
「猫でも犬でも人間でも、誰かにひどくされると心が傷付いて、もとには戻らなくなってしまうんだよ」
動物へのいじめが他の動物や人へのいじめに繋がらないように、親の想いを子供にわかる言葉で伝えていきます。
まだ幼いうちは全てを理解することはできませんが、『動物をいじめたらダメなんだ、お父さんやお母さんを悲しませるんだ』ということは理解出来るはずです。
動物を可愛がって大切にする姿を見せる
親が動物に対して優しく接していれば、子供も自然に同じように接するようになります。
幼い頃にはよく分からずペットを叩いてしまうことがあっても、何度か注意をして親が模範をしめせば、「こうして可愛がれば良いんだな」と理解出来る物です。
子供が動物をいじめる時は意識をして動物を大切にする姿を見せましょう。
また、ペットの飼い方などの本を見せて、「こうしてあげれば喜ぶんだね」などと声かけをしてあげるのも効果的です。
子供の動物への暴力が収まらない時は?
何度言い聞かせても子供が動物をいじめてしまう、大きなケガや命に関わるような暴力をふるってしまうことがある。
そんな時は、残念ですがペットを飼うことは難しいでしょう。
もしも既にペットを飼っているなら、引き取り手を探すか、見つからない時には保護してくれる団体に連絡をとって相談してみてください。
暴力傾向が強い子供とペットが一緒に暮らしていると、どうしてもその標的にペットが狙われてしまうことが少なからずあります。
親の目の届かない所で悲惨ないじめが無いように、早目に対処しておくことが大切です。
子供の暴力をやめさせる方法|暴力をふるう原因と止め方を解説