「発達障害の子供を特別支援学級になんて入れたくない」と感じている親御さんは多いです。
中には、学校の担任に「お子さんは特別支援学級に入った方が良いと思います」と勧められて、「どうしてうちの子が?」とショックを受け、「絶対に入れたくない!」と反発する人もいます。
確かに特別支援学級はその名の通り「特別な支援を必要とする子供が入る学級」ですから、「うちの子には必要無い、普通学級にいさせたい」と感じる親御さんの気持ちは分かります。
でも、特別支援学級はそこまで親が戸惑ったりショックを受けるほど悪い場所でしょうか?
私は発達障害の息子を5年間、小中学校の特別支援学級に通わせました。
通わせてみてやっぱり戸惑ったことや困ったことは勿論ありましたが、それでも、環境の合わない普通学級で我が子が苦労したり傷付いたりするよりは、特別支援学級に入って安心して過ごせた事の方が良かったと感じています。
こちらの記事では、「子供を特別支援学級に入れたくない」と思っている親御さんに知って欲しいことをまとめました。
目次
発達障害の子供を特別支援学級に入れたくない理由は?
発達障害の子供がいて、担任から特別支援学級を勧められた。でも、絶対に入れたくない。
そういう言葉を時々耳にします。
なぜ特別支援学級が嫌なのか、理由を聞いてみると、一番に挙げられるのが「子供が障害者だと思われるから恥ずかしい」という意見です。
発達障害の子供でも、目立った問題行動が無ければ周りは障害の有無に気付きません。
そのため、今までは普通の子だと思われていたのに、特別支援学級に入ると障害がある事がみんなに知られるのが困る。そう感じている親御さんが多いのです。
「発達障害が恥ずかしい…」という言葉自体が偏見でしかありませんが、できるだけ我が子は『普通』に見られたいという親御さんの気持ちは理解出来ます。
やはり私の息子も特別支援学級に入った途端に周囲が離れていきましたし、ママ同士で仲良くしてもらっていた人達とも疎遠になってしまいました。
それは自分自身かなりショックだったことは確かです。
特別支援学級で感じたデメリットについては以前記事にも書きましたが、普通学級からうつったことで「あの子は発達障害なんだ」と、好奇の目で見られてしまう可能性もゼロではありません。
「特別支援学級ってどんなところ?」通わせて分かったメリットデメリットですから、今の普通学級で仲良しの友達がいて、クラスにも馴染めている場合には、そこを引き裂いてまで特別支援学級にうつるのは子供にとってもマイナス要因が大きくなるかも知れません。
「特別支援学級に入った方が良い子供」とは
親の目から見て、普通学級でもついていけて特に問題を抱えている様子も無ければ「特別支援学級に入る必要は無い」と感じますよね。
特別支援学級に入るかどうかの基準は、『本人が望むかどうか』『周囲に負担をかけていないかどうか』の2つのポイントで判断した方が良いです。
小学校でも中学校でも、友達関係というのは一番重要です。
どんな子供でも仲良しの友達がいれば勉強にも意欲的に取り組めますし、さまざまな行事でも前向きに楽しく過ごすことができます。
ですから、発達障害の特性でさまざまな違和感や困りごとがあったとしても、友達がそばにいて助けてくれるような環境であれば乗り越えられる場合も多いです。
でも、助けてくれそうな友達がクラスにいなかったり、他の同級生から「迷惑だ」と感じられるような状況であれば、やはり特別支援学級に入る事を考えた方が良いのではないでしょうか。
支援学級に入る基準になること
実際に特別支援学級に子供を入れるかどうか、迷った時に基準になることをまとめました。
- 子供本人が普通学級につらさを感じている
- 授業についていけずストレスを感じている
- 授業中に教室を歩き回ったり大声で喋ってしまう
- 周囲への暴言や暴力が頻繁にある
- 同級生のペースに合わせられず置いてけぼりになる場面がある
- 先生の目を盗んで学校の外に出てしまった事がある
- 学校の中で行方不明になって教職員に探し出された事がある
- 言葉使いや行動をクラスメイトにからかわれている
- 特性が原因でいじめられた事がある
- 学校に対して不安な気持ちが大きくなっている
- 学校への行き渋りがあったり、すでに休みがちになっている
上記にあげたようなことが複数あてはまる場合は、本人のためにも特別支援学級に入れてあげた方が良いかも知れません。
本人が普通学級を嫌がっていない場合でも、特性が原因で問題行動を繰り返してしまった時、周囲からは「迷惑な存在」に思われてしまう事もあります。
そうなると影で悪口を言われたり、「いない方が良いのに」といった態度をされることもあり、結局は本人が一番悲しい思いをするのです。
私の知り合いの自閉症のお子さんも、親御さんの考えで特別支援学級には入っていませんでした。
そうすると、そのお子さんの学校での問題行動に困っている子供達からは冷たい目で見られ、保護者からは疎ましがられ、傍目から見ていてとても可哀想に感じる事もありました。
親御さんからすれば、「普通学級でみんなと同じことをさせたい」という思いが強かったわけですが、結果的には、やはり普通学級にいたからといってみんなと同じようには行動出来ませんし、何かにつけて怖がられたり敬遠されたりしていたので、「本当にこれで本人は幸せなのだろうか…」と周囲は感じていました。
障害児を特別支援学級に入れないのは親のエゴ?
障害のある子供なのに普通学級にこだわっている親御さんに対しては「親のエゴだ」「子供が可哀想だ」と批判する人も中にはいます。
障害のあるなしに関わらず、普通学級で健常児と同じことをさせてあげたい、ハンデがあっても同じように学校生活を送って欲しい。そう考える気持ちはよく分かります。
私自身も息子を特別支援学級に入れたくて入れたわけではありませんし、普通学級で問題なく過ごせるなら、そうして欲しかったです。
実際に当時の担任や校長、教頭からは、「普通学級でも良いのではないか?」という提案もされました。
しかし、その時すでに不登校になっていましたし、安心して通えない普通学級に在籍したまま不登校を続けるか、サポートをしてもらえる特別支援学級に転籍して不登校から抜け出すか、悩んだ末に出した答えは転籍でした。
普通学級でも特別支援学級でも、子供が安心して通えなくては意味がないのです。
親の普通学級へのこだわりが子供を追いつめる事も…
私は毎日欠かさず息子の送迎をしていたので、学校の中で、発達障害なのに無理をして普通学級に通って心が傷付いて泣いている子供、不登校になったり別室登校している子供、校門の前で立ちすくみ学校に入れずうつむいている子供、とてもたくさん見てきました。
こんな状況があるのに、それでもなぜ特別支援学級に入れてあげないのだろう、転籍すればきっと本人は居場所が用意されたことに安心できるのに…と感じた事は数知れずあります。
学校の中で障害のある子供がどれくらいつらい思いをしているか。それは、親には計り知れないものがあります。
少しくらい傷付いても、それを乗り越えて強くなって欲しい。
そう願う親御さんも多いですが、発達障害でアスペルガー症候群があると、どうしてもマイナス志向に物事を考えがちになり、親が気付かないうちに心が追いつめられている事も少なくないのです。
ですから、発達障害の子供が学校に行きづらくなっている様子があれば、どういう環境なら学校に行きやすいか、特別支援学級に通ってみるのはどうかと提案してあげてください。
特別支援学級を見学してから判断する
いきなり特別支援学級と言っても、どんなクラスなのか、何をしているのか、普通学級の保護者には分からない事ばかりです。
そんな中で「良いか悪いか、合うか合わないか判断しろ」と言っても、それは無理は話ではないでしょうか。
ですから、発達障害の子供を特別支援学級に入れた方が良いのか悩んでいる時は、「百聞は一見に如かず」ということで、ご自分の目で確かめる為に見学を学校に申し入れてください。
保護者と子供が特別支援学級を見学する事はどの学校でもできるはずですから、まずは教室の中の雰囲気や授業風景、クラスの中にいる障害のある子供達の様子や教職員の接し方などを実際に見てみて、我が子に会っているかを判断してみられるのが一番良いと思います。
私の息子は、最初に2回、15分くらいずつ見学させてもらった後に、不登校の間は週に1時間だけ特別支援学級で授業をうけさせてもらいました。
それと並行して特別支援学級への転籍の手続きを出して、年度がかわって学年が上がるタイミングで正式に特別支援学級の生徒になったのです。
そこからは不登校からも抜け出せて、最初は登校時間をずらしたり、午前中だけで早退したりしながら、1カ月が過ぎる頃からは他の生徒と同じように朝から夕方まで毎日学校で過ごせるようになりました。
息子の場合も何も見学せず授業の体験も無しでいきなり「特別支援学級へ」と言われると本人の戸惑いが大きかったと思いますが、事前に見学や体験を重ねていたためスムーズに通いはじめる事が出来たのです。
親としても、普通学級の頃より「何をして過ごしているのか」という学校生活の中身がよく分かるようになって、安心感は大きくなりました。
担任から「特別支援学級に行って」と勧められたら?
担任に「お子さんは特別支援学級に入った方が良いです」と言われたら、なんだかお払い箱にされたように感じて腹が立つこともあるかも知れません。
でも、考えてみれば特別支援学級の方が手厚いサポートが期待できますし、担任との距離も近い為、「うちの子にはこういう風に接して欲しい」などのお願いも言いやすくなります。
学校によって違いはありますが、ほぼ毎日「連絡ノート」で学校でどう過ごしたか、何かトラブルは無かったかなどを細かく伝えてくれることもあり、「下校してから不安定だけど、学校で何か嫌な事があったのかな…?」という親の心配を減らす事ができます。
野外活動などでも、普通学級の子供達よりサポートが行き届いているので、1人だけ置いてけぼりになったり、困った事を言い出せずにパニックになるようなことも無いのです。
そういったメリットを考えれば、何も担任から特別支援学級を勧められても不愉快に感じる事はないのです。
そもそも、担任から言い出すという事は、すでに何らかの問題が起きていたり、クラスメイトや保護者から「なんとかしてほしい」という要望が出ている可能性が高いです。
それをそのまま放置して本人が傷付くようなことになったり、逆に同級生を困らせるようなことになるよりは、有難くその言葉に従った方が良い面も大きいと言えます。
迷ったり戸惑ったり、我が子を特別支援学級に入れることは簡単ではありません。
しかし、通わせた経験者の私からすると、普通学級で苦しんでいる障害児の子供達は本当に可哀想でしたし、それに比べれば疎外感があり寂しかったとしても特別支援学級に入れたほうが親としては「我が子を決定的に傷つけずに済む」というのが最大のメリットであるように感じます。
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