子供がいると、お弁当や昼食のためにおにぎりを作ることが多いですよね。
シンプルな材料で、短い時間でささっと作れて、それでいて美味しい。
子供と一緒におにぎりを作って食べた経験があるお父さんお母さんも、たくさんいるのかも知れませんね。
日本人の国民食として長年愛されているおにぎりですが、作る時に気を付けなくてはいけないのが、食中毒のリスクなのです。
あまり知られていませんが、おにぎりで食中毒を起こして大変な思いをしたという人は老若男女問わずたくさんいます。
こちらの記事では、これまでにニュースになった「おにぎりの食中毒事例」をまとめながら、おにぎりで食中毒を起こさないために、おにぎり作りで守るべきことを紹介します。
小さな子供や高齢者は食中毒が命取りになることもあります。おにぎりで起きる食中毒について、ぜひ知っておいて下さいね。
目次
おにぎりで食中毒!実際に起こった事例まとめ
まず最初に、これまでに起きた「おにぎり食中毒」の事例を紹介します。
避難所で配られたおにぎりで食中毒
2016年5月、熊本地震の避難所になっていた小学校で、市内の飲食店で作られたおにぎりが提供されました。
配られたおにぎりを食べた避難者のうち、34人が嘔吐下痢などを起こし内21人が入院、その後の保健所の検査で食中毒と断定。
おにぎりからは黄色ブドウ球菌が検出されましたが、おにぎりを作った従業員は手袋をつけていたということで、汚染経路は不明のまま。
おにぎりを保管する容器の中で菌が増殖した可能性があるとのことです。
海水浴で食べたおにぎりで食中毒
2017年7月、海水浴に来た家族が家から持参したおにぎりを昼食に食べたところ、吐き気や嘔吐に苦しみました。
おにぎりは前日に握ったものだったそうで、その後の保健所の検査で黄色ブドウ球菌が検出されています。
暑い時期に長時間持ち歩いたことで、菌が増殖してしまったようです。
せっかくの海水浴が、家族全員で苦しんだ残念な思い出に変わってしまいました。
救援物資のおにぎりで集団食中毒
2012年8月、京都府宇治市の炭山地区が大雨による土砂崩れで分断され、住民300人が孤立状態に。
そこに救援物資として運ばれたおにぎりで集団食中毒が起き、80人以上が症状を訴え、34人が救急搬送されました。
おにぎりは注文を受けた業者が作ったものをヘリコプターで運んだそうですが、作ってから食べるまでの時間が長くかかり、菌が増殖してしまったのです。
おにぎりで食中毒をおこさないための注意点
ここまで紹介した食中毒事案からも分かるように、おにぎりは、握ってから時間が経つことで菌が増殖し食中毒のリスクが高まります。
また、春から夏の暑い時期になると食中毒が起きやすくなることも分かります。
おにぎり食中毒が起きやすくなるポイント
- 握ってから食べるまでの保管時間が長い
- 20度以上の場所で保管している
この2つが重なると、いくらラップやビニール手袋を使っておにぎりを握ったとしても、食中毒が起きやすくなるので注意しなければいけません。
おにぎりにも保冷剤を使う
お弁当だと必ず保冷剤を入れるお母さんでも、おにぎりなら大丈夫と思って、保冷剤を入れずに包んでしまうこともあるかも知れません。
でも、おにぎりを温度の高い場所で保管していると、菌が増殖して黄色ブドウ球菌の食中毒が起こりやすくなります。
春から夏まで、日中の気温が20度以上になる時には、必ず保冷剤を使っておにぎりの温度が上がらないようにしましょう。
真夏の時期にはおにぎりを作ってから一度冷蔵庫で1時間くらい冷やしておくと、朝作ったおにぎりの温度が昼まで上がらずにすみますよ。
梅干しで食中毒は防げない!
おにぎりの食中毒について特集した記事を読むと、「梅干しには抗菌作用があるため、おにぎりの具に入れると菌の増殖をおさえてくれる」と書いてあることがありますが、これは間違った情報です。
東京都健康安全研究センターが行なった梅干しの抗菌性を調べる実験では、梅干しに接触するところでは抗菌性はあったものの、そこから全体に作用することはありませんでした。
また、スーパーなどで売られている梅干しの多くは塩分控えめであったり、塩以外の添加物が入っていたりするので、そもそも梅干しの抗菌性を期待できないものがほとんどです。
ですから「おにぎりには梅干しを入れておけば食中毒にならない」という説には根拠が無く、梅干しを入れても入れなくても食中毒のリスクはあるので温度と時間に注意することは必須です。
おにぎりを手で握ると食中毒になる?
「昔のお母さんは素手でおにぎりを握っていたのだから、おにぎりは手で握っても大丈夫」という専門家もします。
中には、手についた菌をおにぎりに付着させた方が良いという説も…
しかし、これまで実際におにぎりでの食中毒が起きてきたことを考えると、やはり素手でおにぎりを握ることはおすすめできません。
とはいえ手でおにぎりを握ったら必ず食中毒になるわけではなく、素手でなくても、食中毒が起きることはあるのです。
ですから「手で握ったらダメ」と決めつける必要はありません。
握ってから食べるまでに時間があく時には、なるべく菌を増やさないために、ラップやビニール手袋を使った方が良いと思いますが、その場合でも保管する時の温度や時間には気を配りましょう。
黄色ブドウ球菌が危険水域まで増殖するには、大体7~8時間かかるという実験結果もあります。
ですから、少なくとも7時間以内で、できるだけ早く食べるようにしてくださいね。
朝に多めに作っておいたおにぎりがあまっても、夕方から夜に食べるのは危険です。作ってから7時間以上経過したおにぎりは食べないようにしましょう。