任意加入と言いながら、ほとんど強制的に加入させられる「PTA活動」は、各地でさまざまなトラブルを招いています。
仕事や介護で忙しい親御さんの中には、PTAの負担が耐えられなくなり、退会を考える人も増えているようです。
しかし、PTA問題は退会したからといって解決するわけではなく、時には「PTA退会」がトラブルを招くことも…。
こちらの記事では、PTA退会後に起こった各地のトラブルをまとめながら、退会する前に知っておいた方が良いデメリットを紹介します。
目次
PTAをやめたい時は退会しても良い?
PTAは、その学校に通う児童・生徒の保護者によるボランティア組織で、子供の学校生活のために様々な活動を行っています。
PTA会員の加入は任意で、「イヤなら入らなくて良い」という建前がありますが、実際は入学と同時に自動的に加入させられるため、「強制加入になっているのではないか」という指摘もあります。
退会を希望した保護者はPTA役員や担任に『退会理由』を聞かれたり、時には、他の保護者から「自分勝手だ」といった非難の言葉をかけられることも。
そんなPTAの強制加入についてはこれまでも問題視されていて、最近では、働くお母さんを中心に自分から退会する人が増えてきつつあります。
忙しいお父さんお母さんにとっては、少しでも面倒なことや時間のかかることは避けたいものです。
それに、任意の組織であるPTAを退会することは悪いことではないはずで、誰にも文句を言われる筋合いは無いはず。
しかし実際には、PTAを退会した日から周囲の態度が変わり、「PTA会員じゃないなら」と、学校生活や登下校でさまざまな制限を受けて悩んでいる親子も少なくありません。
PTAを退会するデメリット|PTAをやめた日からトラブルが始まった
登校班に入れてもらえなくなった
朝の登校を集団登校にしている学校は多いですよね。
近所の子ども達でグループを作って登校班で学校に向かうことで、不審者に狙われにくくなりますし、低学年の子供が迷子や事故に遭う可能性を減らすことが出来ます。
子供がいる親だと、「登校班があることで助かる」と感じたことが1度はあるのではないでしょうか。
しかし、PTAから抜けた途端に登校班に入れてもらえなくなった子供がいるのです。
本来登校班は子供の安全のために学校が責任を持って指導しているはずなので、いくら親がPTAを退会したからといって、そこから子供が省かれるのはおかしいですよね。
私の知人もPTAをやめた事で「登校班に入れない」と言われてしまい、大きなショックを受けていました。
その時、PTA役員から言われたのは、「登校班はPTA会員によって見守り活動や下校パトロールが行なわれて運営されていて、その協力が出来ないのなら入れることはできない」という話でした。
確かに他の保護者が見守り活動をして登校班が安全に学校へ行けるようにサポートしているのに、「自分はPTA業務には参加せずに、登校班だけ参加させて欲しい」と言ったら、他の保護者は腹が立つ面もあるかも知れません。
でも、子供には親のPTA参加は関係のないことなので、その矛先を子供に向けるのはおかしいのではないでしょうか。
最終的にその知人は教育委員会に訴えて、登校班に参加できるようになったそうです。
PTA退会後に登校班に参加できるかどうかは学校によって対応は異なります。ですから、退会すると決めた時にはあらかじめ確認しておいた方が安心ですね。
PTAで購入したものを使わせてくれない
小学校や中学校では毎月「PTA会費」が集金されていて、そのお金から備品が購入されることがあります。
これは保護者がお金を出し合って学校に寄付をした形になりますが、PTAに入っていないと、そういったものも「使わないで!」と言われることがあります。
例えば、PTAが材料費を負担して会員のお母さん方が作った卒業式用のコサージュを、「PTAを退会したなら、あなたの子供にはコサージュはつけられない」と言われたケースがあります。
これも子供には何も関係が無く罪が無いのに、親がPTAを退会したことで、晴れの日に悲しい思いをさせるのはとても可哀想ですね。
材料費だけなら個別に支払っても良いような気がしますが、それもPTA側から言ってくれないと分からないので、退会することによって関係がこじれてしまうと必要な情報も入って来ないというのが大きなデメリットになるように感じます。
夏休みのラジオ体操に参加できない
夏休み中は朝に広場に集まってラジオ体操をする地域が多いですが、それもPTAが運営している学校の場合は、PTAを退会することで子供がラジオ体操に参加できなくなるケースがあります。
実際に私の友人もPTAを抜けた年から、毎年配られていた「ラジオ体操の案内」が来なくなり、同級生はみんなラジオ体操に行っているのに、その子だけは家で寂しくしていたと聞きました。
学校のクラスではラジオ体操のカードが配られていただけに、1人だけハンコを押してもらえず夏休み明けに提出できないのが悲しかったようです。
その地域では、ラジオ体操の運営はPTA会員の保護者が子供を引率して広場まで連れて行き、ラジオを流してハンコを押してと…色々と手間をかけていました。
ですから、「それに協力しないなら参加させない」という決まりなのでしょうね。
「PTAを退会するのは自分勝手だから、デメリットは仕方ない!」と言われればそれまでですが、やはり子どもには、「自分だけ制限されている」という悲しい気持ちにさせるので、できればそういった差別するようなことは避けてもらいたいものです。
「なぜやめさせてくれないの?」退会できないPTAでトラブル続出
さまざまなデメリットがあったとしても、それでもPTAをやめたい、退会したい。そんな風に考える人も多いです。
しかし、デメリットを覚悟して「PTAを退会します」と伝えても確実にやめさせてもらえるわけではなく、色々と文句や無理難題を言われて苦労した方々もたくさんいます。
PTA役員を辞退したら「自力で代わりの人を探して」と言われた…そんな義務あるの?任意団体であるはずのPTAが発端となって、嫌がらせやいじめに繋がる。それはあまりにも悲しいことですね。
実際に傷付いたり心が追いつめられてしまう人が少なくないことも鑑みれば、PTAという組織自体を解体した方が良いのではないかと個人的には感じてしまいます。
PTA退会でトラブルを避ける方法は?
PTAは任意加入なのだから、自由に退会できるはず。
ですが、やはり退会してしまうと周囲からは冷たい目で見られたり、「わがままだ」と陰口を言われることも多々あるようです。
それというのもPTA活動が保護者にとって負担が大きく、「本当は辞めたい」と誰もが思っているからではないでしょうか。
私の友人も言っていましたが、登校班やラジオ体操など、本当に子どもにとってメリットのあることなら少々無理をしてでも参加したい。けれど、保護者だけの茶話会やヨガレッスン、講演会の参加ノルマなど、子供とは関係のない所で度々時間を削られることが問題なのです。
こういったことを拒否したいと言うと「わがまま」というレッテルを貼られ、大切な子供へ被害が及ぶのは本当に残念なことです。
共働きの家庭も増えていく中で、いかにPTA活動の無駄を省いていくかは、立場を超えてみんなで考えるべき課題ではないでしょうか。
PTAの保護者の負担を減らしてあげれば、「退会したい」と思う人は絶対に減っていくでしょう。
みんなが無理なく軽い負担でPTAを運営すれば、もしも退会する親子がいても、腹を立てたり攻撃対象にする保護者はいなくなるのです。
そうすれば、PTA退会のトラブルも自然に無くなっていくはずです。
多くの人が「PTAをやめたい、でも、やめられない」と思っている状況が、PTA退会のデメリットを生み出しているということを、学校側や教育委員会も把握するべきかも知れません。
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